この怪鳥カーネリアンの雛も、生まれてから二週間足らずだが、随分大きくなった。
手の平に収まる位だった身体は、いつの間にかずっしりとそれなりに重くなっているし、羽をばたつかせれば十センチは浮かぶ様になった。
………レトが餌を与えている光景など今まで見た事が無いが、この雛は逞しく自給自足の生活をおくっているらしい。
そっと手を伸ばして黒い羽毛を撫でると、アルバスは眠そうにウトウトと瞼を下ろし始めた。
…漆黒の羽毛の隙間からは、青白い羽が点々と見え隠れしていた。
………生え変わっているらしい。この雛が成鳥となる日は、近いかもしれない。
……が、このやんちゃな雛鳥が、本当にあの怪鳥になるのだろうか。
怪鳥カーネリアンは頭も良く、凶暴で知られている。
その吐息は空気を凍て付かせ、鳴き声は聴覚を狂わせる………のだが、アルバスはただ歌っているだけだし、ゲップばかりしている。
………カーネリアン…には、到底見えない。
突然雛から成鳥へと変わるらしいが、アルバスはどうだろうか。
………頼もしい味方には見えないが…。
「………私がいない時は……………お前がこの子を守ってやってくれ………」
完全に瞼を閉じた小さな雛に、ザイは笑って言った。
………そう。
今からが………一番過酷なのだ。
どんなに小さな力でも貸してくれるのならば、喜んで受けよう。
………今からが、一番………危険なのだ。
振り止まない吹雪の声に耳を澄まし、ザイは皆で囲んだ淡いランプの明かりをじっと見詰めた。


