………この子が死ぬなど………考えられない。
ひたすら掟に従い、この子の死闘を眺めるだけ。
息絶えていく様を見ているだけ。
………そんなこと……出来る訳が無い。
出来る訳が無いだろう。
この子が生きて私の元に帰ってくる度に………私は………思わず、泣きたくなる。
この子の頭を撫でながら、「よくやった」と呟きながら、私は心の内で忍び泣くのだ。
………生きてくれている。
………死ぬんじゃない。
絶対に………死ぬんじゃない。
………………腐りきった私が、父親面をする資格など無い。
………汚れた過去を持つ私が、この子の親だと堂々と言う資格も無い。
そんな私だが………私は………。
………この命を懸けてでも………この子を。
擦り傷だらけの指先で、静かに眠る息子の柔らかな色白の頬を撫でていると。
………レトの傍らに丸くなって寝ていたらしいアルバスが、背伸びでもするかの様に黒ずんだ羽を伸ばし、ヨチヨチと歩いてきた。
ザイの膝に頭を置いて眠るレトの顔を覗き込み、アルバスは首を傾げながらこちらを見上げてきた。
クリクリとした赤い瞳が、苦笑する自分を映している。
「………夜明けまではまだ時間がある。………もう少し寝ていたらどうだ?」
外は猛吹雪が闇に浸かっている。
白んでもいない空は、まだ朝日を迎える気配も無かった。
チチチ…とアルバスは小さく鳴くと、レトの懐にもそもそと潜り込み、丸くなった。


