深い溜め息を吐きながらも、アレクセイは一、二回の瞬きの間に、周囲の兵士の数とその距離を見定める。
本の少しだけ立ち位置をずらし、ゆっくりと体勢を低くし………身構えた。
……いつ何処から、刃が躍り出てきても対応出来る様に。
「………話じゃと?…ほざけ…!」
何度も何度も突いているせいで先がすっかり磨り減り、丸みを帯びてしまった杖を、固い大理石の床に思い切り突いた。
カンッ……という甲高い乾いた音が、殺気が充満した空気の中で鳴り響いた。
「―――下らん。実に、下らん。………国交じゃと?何故貴様らの様な愚劣な人間と口を利かねばならぬ……会わねばならぬ……………汚いものを見なければならぬのじゃ…!」
………アレクセイの後ろに控える使者達の囁きが、止まった。
………皆深く被ったフードで表情は分からないが………言いたい放題喚き散らす老王に、無言の視線を注いでいた。
しかし老王は知ってか知らぬか、その口を閉じない。
「下卑た者が考える事はやはり、馬鹿げている。………新王を迎えても、たかが二年の浅い国……赤子の如き支離滅裂な政を我が国にまで持ち込むとは………恥を知れ!!」
「―――…バリアン王…」
………そう呟くアレクセイの目付きが、より一層……険しくなった。
………主がけなされるのは、耐えられない…。
「…まだまだガキ同然の………しかも女が………王…?………悪ふざけも程々にせい…!」
「………バリアン王…少しその口を慎んで…」
「……小娘ごときがわしに盾つくなど………わしを誰じゃと思うておる……!わしと並ぶというのか!!」
老王の悪態は酷さを増していく。
本の少しだけ立ち位置をずらし、ゆっくりと体勢を低くし………身構えた。
……いつ何処から、刃が躍り出てきても対応出来る様に。
「………話じゃと?…ほざけ…!」
何度も何度も突いているせいで先がすっかり磨り減り、丸みを帯びてしまった杖を、固い大理石の床に思い切り突いた。
カンッ……という甲高い乾いた音が、殺気が充満した空気の中で鳴り響いた。
「―――下らん。実に、下らん。………国交じゃと?何故貴様らの様な愚劣な人間と口を利かねばならぬ……会わねばならぬ……………汚いものを見なければならぬのじゃ…!」
………アレクセイの後ろに控える使者達の囁きが、止まった。
………皆深く被ったフードで表情は分からないが………言いたい放題喚き散らす老王に、無言の視線を注いでいた。
しかし老王は知ってか知らぬか、その口を閉じない。
「下卑た者が考える事はやはり、馬鹿げている。………新王を迎えても、たかが二年の浅い国……赤子の如き支離滅裂な政を我が国にまで持ち込むとは………恥を知れ!!」
「―――…バリアン王…」
………そう呟くアレクセイの目付きが、より一層……険しくなった。
………主がけなされるのは、耐えられない…。
「…まだまだガキ同然の………しかも女が………王…?………悪ふざけも程々にせい…!」
「………バリアン王…少しその口を慎んで…」
「……小娘ごときがわしに盾つくなど………わしを誰じゃと思うておる……!わしと並ぶというのか!!」
老王の悪態は酷さを増していく。


