亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~



『ままごと』という名の単なるごっこ遊びで、仕方無く言っていると分かってはいるものの………自分の口から出た言葉だと、容易には信じられなかった。


今、私は何と言った…?

………………はい、ミツバチ殿…?







………気のせいだろうか。………何か、大切なものを失ってしまった気がする。








無駄にだだっ広い広間の中央に置かれたテーブルで、とにかく席に着く使者と向かいに座るルウナ。「五人は多しゅぎりゅの!」と言われ、使者の長である一名が抜擢された。何とも奇妙な、一対一のままごとである。解放された四人は別室に避難していった。………長の私を残して、無慈悲にも。





…どこまで不用心なのか、幼い王子様の護衛につく兵士は一人もおらず、唯一の見張りと言えるのは、見守る様に広間の出入り口からこちらを眺めているダリルのみだった。

腹黒い老紳士はさっさと何処かへ行ってしまうし、毒舌の青年は欠伸を噛み殺してぼんやりとしているし。
………結局、ままごとは客人である自分がしなければならないらしい。…何故。





「くまさんがあんまりにも駄目駄目だかりゃ、ミツバチさんは定期的に蜂蜜を分けてあげることにしましちゃ―。その代わり、もうお家を荒らさないでね―って言いまちた―!」

「………はぁ」

愛嬌のある阿呆そうな可愛らしい熊の縫いぐるみを手渡され、とりあえず受け取りながら気の無い返事をした。
王子の方は熊と同サイズのミツバチの縫いぐるみを二つ、ブンブン振り回している。

「ミツバチさんは、ミツバチさん二号と仲良しなの―!二号の大切にしていりゅ蜂蜜は、すっごく美味しくってね、誰にも取られない様に大切にしちぇるの!」