亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~



話をすべき本人が不在とは、どういう事だろうか。
…王というものは常に玉座に居座るもの。国家の象徴として城にあるべきもの。

国というものの形を表すと言っても過言ではない、その『王』が………いないなど…。

しかも、自分達という規模の大きい客人が来るという日に…。





「………つい先日、大きな風が吹きましてな。郊外の村々の家屋や家畜に多大なる被害が出てしまいまして。急ぎ救援を寄越しました。その農村の復旧に陛下御自身も出向いておられております」

「………………ふ……復旧に…?」


………復旧ごときに王が出向く?
……有り得ない…!
非常識過ぎる!

………と、思うのは当たり前なのだが……先日の国交に堂々とやってきたフェンネル王の事を思い出せば………確かに、あの女王ならやりかねない。

それがこの国の王のやり方だとすれば………非常識と考えられる行動は全て、ここでは普通なのかもしれない。





「………どうやら貴殿等が敬意を払うこの国の王は………優先すべき客人よりも、寵愛する民の方しか見えておらぬ様だな…」

…呆れてものも言えない。
使者は鼻で笑いながら皮肉って言ったが、老人は笑みを返し、性格の悪い青年は鼻で笑い返してきた。



「ええ。陛下は、この国そのものを慈しんでおられますから」

「………玉座に座っているだけの、典型的な王様は………飽いた、って言ってたからね…。………昔から、変わった人だよ」





バリアンの使者達はこの二人を睨み、奥歯を噛み締めた。



この国の空気も、全く警戒心の無い平和ボケした雰囲気も、この重役等も、そして小娘の王も………全部、全部……気に食わない。