人の良い笑顔で振り返るこの老人に、使者達は怪訝な表情で言った。
「………………大広間………とな…?」
「………大広間が、如何致しましたか?」
………使者達はアレクセイを睨みながら、何やらひそひそと話し合い、一つ咳払いをして向き直ってきた。
「………何故、謁見の間ではないのですか?」
………アレクセイは、笑みを引っ込めた。
背後に佇むダリルは、使者達の背中をじっと見詰め………目を逸らした。
「………我々は、バリアン王の側近であられるケインツェル様の命により、フェンネル王に直々にお会いする様遣わされた。………書状にもそう記していた筈だが…?………………何故すぐに謁見をさせて頂けない…」
………何故か、黙り込む二人に、使者達はいよいよ機嫌を損ねていった。
「………どうなされた…。………アレクセイ殿…。」
答えを待つ使者達の前で、アレクセイは再び笑みを浮かべて口を開いた。
「………実は…」
「………いないよ」
背後に立つダリルが、その答えを呟いた。驚いて彼に振り返ると、ダリルは不敵な笑みを浮かべて今度ははっきりと言い放ってきた。
「………………フェンネル王なら……陛下なら………………………不在に御座います」
「―――………不在…?」
………不在、だと?………何だって?
………不在…。
………………………王が不在、など……!
「これはどういう事だ!!………わざわざこちらに出向いたというのに……不在?」


