亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~



「陛下の命により、普段は城内に配備させておりませんよ」


………と、すぐには信じられない答えが返ってきた。

もしもの時のため…例えば内紛などが発生した時はどう対処するのか。
………そんな事も訊いてみたが、アレクセイは盛大に笑って、「国内に敵などおりませんよ。陛下は愛されております故」………と、返されてしまった。






………我が国とは大違いだ。

内心、酷いカルチャーショックを受ける使者達。

何をどうすればこんな穏やかな生活が送れるのだろうか。













「僕を殴った調子こいたお爺さんのアレクセイ、お客様を大広間に迎える準備が出来たよ」

…不意に、無感情だが棘のある言葉が並んだ声が聞こえてきた。

声の主を見れば……あの、城門前で自分達をからかっていた青年だった。
………余程さっきの事に根を持っているのか、青年はアレクセイを凝視したままだ。

「…………………………後で謝りますよ、ダリル。どうもご苦労様です。………ああ、こちら、城の執務官長を務めております。ダリル=メイです。………………どうか気を悪くされないで下さい」

「…………………………いい度胸になった上に言う様になったね……………爺さん…」


ポツリと呟くダリルを、またしても無視して通り過ぎるアレクセイだったが………後ろ手に組まれた手の指先は、後々来るであろう恐怖故にか……小刻みに震えていた。



促されるまま、とにかくついて行く使者達だったが………ふと、ある事に気が付いた。






……案内される場所は…広間…………大広間……だと…?












「………アレクセイ殿…待たれよ………」