亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~


青年の毒舌に、次第に握り拳を震わせる使者達。
………というか、城門内にいる兵士らしき者達は、何故我関せずみたいにしれっとそっぽを向いているのか。他に話の出来る奴はいないのか…!

「………貴様……好き勝手に言いおって………!侮辱か!!それは我が国への侮辱と取るぞ!!」

「え、何て?あんた達の言葉、ちょっと古典的過ぎて何言ってるか分かんな―い。訛りも入ってるから余計分かんな―い。ほらもう一回言ってみてよ。不憫なあんた達のために今度はちゃんと聞いてあげるからさ。あ、ゆっくりね」





……苛々しながらも乗せられるまま、使者は素直にゆっくりと復唱しようとした。


阿呆丸出しの彼等を眺めながら、影で不敵な笑みを浮かべていた青年の頭に………軽い鉄鎚が下された。

音も無く、笑顔で近寄ってきた老紳士に、拳骨で叩かれた青年。
―――ポカッ…と間の抜けた音が聞こえた。

………掛ける言葉が見付からず、呆然と見詰める使者達。
そんな彼等の前に、老紳士は青年を押し退けて歩み出てきた。


「………これはこれは、バリアンからの使者殿よ……首を長くしてお待ちしておりました。私は貴殿等の御案内を申しつかっております、アレクセイ=リドムに御座います」

実ににこやかな笑みを浮かべて老紳士は言った。………その傍らで、青年が無表情で老人を凝視している。



「………アレクセイ……今殴った?ねぇ、殴った?殴ったね?……………………………………………いい度胸してるね、ご老人……」

どす黒いオーラを纏い始める青年を無視し、アレクセイは使者達を城門内に導いていく。