行きと同じ足跡を踏みながらレトはザイの元に帰り、何か人間らしいものを欠落してしまった様な無表情で、父の背中にしがみついた。
「………………求婚…って………」
……馬鹿じゃん、と小声を漏らすユノは、同情のまなざしをレトに送った。
「レト君、当時は今より髪が長かったし、どの子よりも目茶苦茶綺麗な子だったからね。………うちの馬鹿ダンテは、女の子と勘違いしてしまったのさ。………笑っちゃったわ。………………『僕の花嫁になってく…』」
「あ゛ああああああああ―!?それ以上の暴露は止めろ!!止めてくれ!!あ゛ああ…死にたい!!」
ダンテは気が狂った様に叫びながら顔面蒼白でズカズカと歩み寄ってきた。
ユノは「………」と、もう何も言えない程呆れ果て、サリッサは哀れなまなざしを送ってくるし、ザイはよしよしと息子を撫でるばかりで、当のレトは………目を合わせようとしない。
心なしか、顔色が悪いのは気のせいだろうか。
「………男に求婚してしまって……恥ずかしさのあまり…ってやつ?………世間ではそういうの、逆恨みって言うんだよお兄さん。知ってる―?」
「………こいつ、王族か?ムカつくガキだな…」
茶茶を入れてくるユノに、ダンテは何の敬意も無しに睨み付けた。そんなダンテに、ユノは更に悪乗りしてくる。
「あ、あからさまに睨まれた!僕がレトの親友であることに嫉妬したな!ねぇねぇ羨ましい?僕って恋敵ってやつ?だけど僕は生憎、そっちの気は無いから安心して」
「何の話だ!」
「………………うちの息子はやらん」
「あんたも四年前と同じ台詞で返すんじゃねぇよ!」
レトを後ろ手にしっかりガードするザイ。
何だこの親。


