亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~



この不安に似た小さな衝動は何だろう?

胸の辺りでザワザワと波打つ感覚は何だろう?



…依存し続けるこの違和感は、何だろう?


(………??……………………………)


ログは、武装した兵士に囲まれ、今にも袋叩きにされそうな使者達をフードの下から見やった。


………先頭で溜め息ばかり吐いている老人と、その背後でこの緊張状態の中ヒソヒソと囁き合う、他数名の使者。







この感覚が襲って来たのは………………彼等が入って来てからだ。




………隣国からの使者。緑の国の異端者。…………過去…我等の仲間をその国土から根絶やしにした、愚かな国の民。





そんな彼等に…何がある…?

ここまで不安にさせ…動揺させる………何を持っている…?

………何がいる…?



(………………)






ログはそっと、我が主であるリイザの背後に、隠れる様に後退した。

視界から使者達が消える様に、ひっそりと。





…………こんなことをしても、何も変わらないが……………こうでもしないと、落ち着かない。

………なんだか、怖い。



ログは漆黒のマントの端を引き寄せ、フードを更に深く被り………杖をギュッと握り締めた。







…………ああ、王族に使える私は、なんて………弱いのだろう。