この不安に似た小さな衝動は何だろう?
胸の辺りでザワザワと波打つ感覚は何だろう?
…依存し続けるこの違和感は、何だろう?
(………??……………………………)
ログは、武装した兵士に囲まれ、今にも袋叩きにされそうな使者達をフードの下から見やった。
………先頭で溜め息ばかり吐いている老人と、その背後でこの緊張状態の中ヒソヒソと囁き合う、他数名の使者。
この感覚が襲って来たのは………………彼等が入って来てからだ。
………隣国からの使者。緑の国の異端者。…………過去…我等の仲間をその国土から根絶やしにした、愚かな国の民。
そんな彼等に…何がある…?
ここまで不安にさせ…動揺させる………何を持っている…?
………何がいる…?
(………………)
ログはそっと、我が主であるリイザの背後に、隠れる様に後退した。
視界から使者達が消える様に、ひっそりと。
…………こんなことをしても、何も変わらないが……………こうでもしないと、落ち着かない。
………なんだか、怖い。
ログは漆黒のマントの端を引き寄せ、フードを更に深く被り………杖をギュッと握り締めた。
…………ああ、王族に使える私は、なんて………弱いのだろう。


