亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~



―――。



―――………。
















―――………?










………??














二人の王子によって、今にも火花が散りそうな………いや、見えない火花は既に散っているが………とにかく騒々しくなりそうな謁見の間で………。







………静かに控えていた二人の魔の者が、首を傾げた。





杖を大事そうに抱えて、魔の者のログは一人…辺りをキョロキョロと窺う。


ちらりと…玉座を挟んだ反対側にいる、アイラに仕える同じ魔の者のカイに、やや遠慮がちに視線を移す。


………すると、カイもまた………ログに視線を重ねてきた。

しかし彼は一瞥しただけで、直ぐに前に向き直った。




………表情に出てはいないものの、カイは何だか落ち着かない様子で……腕を組んで何度も首を傾げていた。





お互い、それは同じだった。














―――『何か』を、感じ取っていた。


その『何か』が一体何なのか、全く分からないが……とにかく感じるのだ。
全身で、全神経で。

………魔力が、ざわつく。

天敵の気配を察知した獣の様に……何度も辺りを窺う。

…落ち着かない。





……どうやら、魔の者であるログとカイにしかそれは分からない様で………二人以外の周囲の人間は静かなものだった。




カイは…もう知らない、とでも言うかの様に、不安げにチラチラと見てくるログを無視し、王子と共に使者達に顔を向けていた。


(―――??)



……ログは、やはり落ち着かない。