―――。
―――………。
―――………?
………??
二人の王子によって、今にも火花が散りそうな………いや、見えない火花は既に散っているが………とにかく騒々しくなりそうな謁見の間で………。
………静かに控えていた二人の魔の者が、首を傾げた。
杖を大事そうに抱えて、魔の者のログは一人…辺りをキョロキョロと窺う。
ちらりと…玉座を挟んだ反対側にいる、アイラに仕える同じ魔の者のカイに、やや遠慮がちに視線を移す。
………すると、カイもまた………ログに視線を重ねてきた。
しかし彼は一瞥しただけで、直ぐに前に向き直った。
………表情に出てはいないものの、カイは何だか落ち着かない様子で……腕を組んで何度も首を傾げていた。
お互い、それは同じだった。
―――『何か』を、感じ取っていた。
その『何か』が一体何なのか、全く分からないが……とにかく感じるのだ。
全身で、全神経で。
………魔力が、ざわつく。
天敵の気配を察知した獣の様に……何度も辺りを窺う。
…落ち着かない。
……どうやら、魔の者であるログとカイにしかそれは分からない様で………二人以外の周囲の人間は静かなものだった。
カイは…もう知らない、とでも言うかの様に、不安げにチラチラと見てくるログを無視し、王子と共に使者達に顔を向けていた。
(―――??)
……ログは、やはり落ち着かない。


