ふと背中から離れた彼の片手は、サリッサの髪を何度も何度も、優しく、慈しむ様に撫でた。
「………………関係無い。………そんなの……どうだっていいんだよ、サリッサ。………私は王族で……君は商人だ。………………それは、確かだよ。でもね、サリッサ……………………………それ以上の事は、何一つ無いじゃないか。あったとしても………関係無いじゃないか…」
「………でも……っ…」
「………馬鹿だね……馬鹿な子だ………。………私は、君が好きだから……好きだと言ったんだ。身分なんて何でもない。………私はね……ただ純粋に……………………………………他人のために、一生懸命ドレスを作って…針を握って…たまにドジをして怪我なんかして…それでも夢中で…辛いどころか、楽しんでいて……」
抱き締める腕に、力が込められていく。
本の少し痛いその抱擁が、愛しくて……サリッサはまた涙を流した。
「………少女の様に笑っていて…とんでもなく恥ずかしがりやで…変わり者の私なんかと話をしてくれて………私なんかに………素敵な贈り物をしてくれて………………………………どうしようも無いくらい…可愛い…可愛い……………ちょっと馬鹿な………商人の、仕立て屋の一人娘の………サリッサという娘を……………………………愛しているんだよ………………心から…」
………心から。
………ただの仕立て屋の、綺麗でも何でもない……娘を。
………心…から。


