………可愛らしく顔を赤らめる、目下の彼女の瞳に………また、涙が溢れていくのを、シオンは見詰めていた。
「…………………私、は……っ…………私は…………商人…です。………しがない………下級の………っ……ただの………薄汚い……っ………商人の……女…で……す…」
………悲しい。
………それ故に、悲しいのです。
どうしようもなく、劣等な身の上でしかない自分が…酷く……悲しいのです。
見えないけれど、確かにある………無情な、『差』が。
貴方が眩しくて仕方無い事が。
私には許されない事が。
悲しくて。
貴方が好きだと言ってくれているのに、応えられない自分が。
………悲し…く……て……っ…。
「……………………………ごめんなさい…。………ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい………ごめんなさ…」
「…馬鹿だね、サリッサ」
次の瞬間………縮こまっていたサリッサの身体は、暖かくて、大きな両手に包み込まれた。
背中に回った彼の手は、サリッサを壊れ物でも扱う様に、しかし力強く、抱き締めた。
彼の体温が、鼓動が、伝わってくる。
頬に触れる彼の青い綺麗な髪が、くすぐたい。
耳元にかかる彼の吐息が、サリッサを更に熱くさせる。
頬を伝う涙は、密着する彼の衣服の胸元辺りに触れ、ジワリと………染み込んでいった。


