色白で細く、しかし大きな彼の指が、そっと目尻の温い涙を掬ってくれた。
「………有名というのは、何かと面倒だよ。……サリッサ………何故泣いているんだい?………私は笑っている君が、一番好きだよ。………あ、でも泣いている君も可愛いから好きだな…」
さらりと笑顔で言い放つシオンの言葉に、泣いていたサリッサはあっという間に顔を真っ赤に染めた。
すぐ側に、同じ様に顔を赤らめ、開いた口が塞がらないでいる夫人が見え………もう、恥ずかしくて死にそうだった。
「……そういえばきちんと聞いていなかったね…サリッサ。……………………………………君は…………貴女は………………私の事をどう思っているんだい?」
「………へ……」
事の展開についていけないでいるサリッサは、何気ないシオンの問いに、間抜けな声を漏らした。
………夫人の顔に、更にしわが増えるのが見えた。
……恥ずかしさのあまり、目を逸らしたくて仕方無かったが……見下ろしてくるシオンの重ねられた視線があまりにも真直ぐで………逸らす事など、出来る筈が無かった。
透き通るその瞳の奥深さに吸い込まれそうな、そんな感覚がサリッサを襲う。
「………あ………の…………あの………わ、私…………その……」
顔が…熱い。
握られている手が、彼の手の中で小刻みに震えている。
………恥ずかしい。
恥ずかしい、恥ずかしい、恥ずかしい、恥ずかしい、恥ずかしい。
………それだけ?
恥ずかしいだけで…………私は…泣いているのだろうか。
………違う。
悲しいのだ。


