亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~



…キッ、と夫人は噛み付く様な勢いで、呆然とするサリッサを再度睨み付けた。


「………次の栄光を勝ち取るのは我が家だと……!……我が家から王族を出そうとしていましたのに…!」



………。



「……………商人の…小娘なんかに…!……とんだ泥棒猫ね!貧困階級の愚民はどこまで飢えているのかしら!!」



……。



「彼に近付かないで!そしてエリザベスにも近寄らないで!口を利かないで!!……汚らわしい!!」



…。






「……身の程をわきまえなさい!!商人の娘と王族だなんて………!………………有り得ないわ!!」














―――。
























………夫人の言葉の数々が、頭の中を駆け巡る。


しかし、一向に……理解出来ない。


理解しようとも、思わない。








………ああ、そうなのか。






………彼は………あの優しい彼は……。





………手の届かない……いや、私なんかが手を伸ばしてはいけない………そんな人だったのか。





……信じられない。…だってあまりにも近くにいて、あんなにも笑いあって。





………私を……サリッサって………親しげに呼んでくれて。











………私を。


…私の事を。















………ほら、サリッサ。………あれは嘘よ、夢だったのよ。

………心地よい、素敵な夢だったのよ。










………夢なのに……ねぇサリッサ……どうして泣いているの。


どうしてこんなにも、苦しいのかしら。














ねぇ、私……どうして泣いているの。