…キッ、と夫人は噛み付く様な勢いで、呆然とするサリッサを再度睨み付けた。
「………次の栄光を勝ち取るのは我が家だと……!……我が家から王族を出そうとしていましたのに…!」
………。
「……………商人の…小娘なんかに…!……とんだ泥棒猫ね!貧困階級の愚民はどこまで飢えているのかしら!!」
……。
「彼に近付かないで!そしてエリザベスにも近寄らないで!口を利かないで!!……汚らわしい!!」
…。
「……身の程をわきまえなさい!!商人の娘と王族だなんて………!………………有り得ないわ!!」
―――。
………夫人の言葉の数々が、頭の中を駆け巡る。
しかし、一向に……理解出来ない。
理解しようとも、思わない。
………ああ、そうなのか。
………彼は………あの優しい彼は……。
………手の届かない……いや、私なんかが手を伸ばしてはいけない………そんな人だったのか。
……信じられない。…だってあまりにも近くにいて、あんなにも笑いあって。
………私を……サリッサって………親しげに呼んでくれて。
………私を。
…私の事を。
………ほら、サリッサ。………あれは嘘よ、夢だったのよ。
………心地よい、素敵な夢だったのよ。
………夢なのに……ねぇサリッサ……どうして泣いているの。
どうしてこんなにも、苦しいのかしら。
ねぇ、私……どうして泣いているの。


