亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~



何か気に障る様な事を言ってしまったのだろうか。
もしかしたら、ドレスがお気に召さなかったのかもしれない…。


何を言われるのだろうかと、夫人の次の言葉を待っていたサリッサに。


………予想だにしていなかった言葉が、投げ掛けられた。






















「………………貴女、彼に何をしたの?」














「………え…?」






………何を言われたのか理解出来ず、サリッサは唖然と夫人を凝視した。

「…惚けないでちょうだい。………この一ヶ月の間、彼と親しくしていたのは知っているのですよ」

「…彼……って…」


夫人の言う『彼』で思い当たるのは唯一人、あの青い髪の男しかいないだろう。

……親しく…?………確かに、他愛も無い話をたくさんした。ほとんど彼が一方的だったけれど。

(………まさか…)

……先日の、あの時の会話。
………召使の老人に聞かれていたに違いないが………………夫人に漏れている…?

………しかし…何故夫人はこんなにも怒って…。



「彼をたぶらかすなんて………唯の仕立て屋の娘だと思って…油断していましたわ。………質の悪い娘ですこと!」

………夫人の声は段々と荒くなり、ほとんど罵声に近くなっていく。
サリッサを見る目は、ゴミか何かを見る様な…そんな目だった。





………たぶらかす?……そんな…!

「奥様…!……あ、あの……私は何も…!」

「嘘おっしゃい!!」

弁解しようにも、夫人は容赦無く撥ね付けた。……サリッサはわななく両手を重ねて、耐えるしかない。


「………彼はああ見えて、異常な程疑心暗鬼に捕らわれておりますのよ?…その、彼が…」