「…あ………いえ。……ですが、あとは糸のほつれなど細かい処理だけで…」
「………そう。…どのくらいかかるのかしら?」
………何か、奇妙な違和感をサリッサは感じ取っていた。
………妙に……奥様が冷たい気がする。
話し方や、視線だとか……………気のせい…だろうか。
サリッサにかけられる夫人の声は何故か低く、刺々しかった。
「……あの………明日中には……終わります…」
「期日は明後日までだったけれど………そう…明日には終わるのね。………では明日、終わり次第報酬をお支払い致します。家まですぐに使いに送らせますわ。………よろしいかしら?」
………終わり次第、すぐに、報酬が頂ける。…それは確かに嬉しいのだが……………遠回しに、早く出て行けと言われている様な気がしてならなかった。
………やはり、明らかに……夫人の態度が冷たい。
初対面の時の優しげなご婦人は何処にいってしまったのか。
向けられるまなざしはあの時とは打って変わって、氷の様に冷たい。
………何か気に触る様な事を言っただろうか。
……もしかしたら、ドレスがお気に召さなかったのかもしれない…。
「………はい…」
……訳が分からぬまま、サリッサはとにかく答えた。
途中から話を聞いていたらしいエリザベスは、至極残念そうな表情を浮かべて夫人とサリッサを交互に見やった。
「え?何?サリッサ、明日で最後なの?……寂しいわ…。せっかくこんなに素敵な花嫁衣装を作ってくれたのに。………あ、そうだ!サリッサ、私の婚儀に是非参加して…」
「…エリザベス!」
……夫人は唐突に、声を荒げて言った。


