背中から腰、足元に垂れた目を引く赤いリボンは、決して派手過ぎない上品な飾りだ。
腰から花びらの様に開いたスカートの裾には、細かなレースがあしらわれ、少し動くだけでそれらは何重にも重なり、違った表情を見せる。
胸元には純白の花のコサージュが一つ、一輪の花の如く浮かんでいた。
最初は、一枚の生地と糸だけだった。
それが、サリッサという仕立て屋の手によって………芸術の一つに生まれ変わった。
きらびやかな宝石は一つも使われていない、シンプルなデザインのドレス。
だが、その全容は宝石の輝きとは別格の、自然な美しさで満ち溢れており、ドレスを見下ろす天井のシャンデリアの明かりを浴びるどころか跳ね返す勢いで輝いていた。
「……凄い…凄い凄い!!…凄いわサリッサ!ねぇサリッサ、本当に貴女が作ったの?本当にこのドレス、私なんかが着ていいの?凄い!サリッサ貴女素敵ね!!天才だわ!!」
感激のあまり、エリザベスは恥ずかしそうに佇んでいたサリッサに思い切り抱き付いた。
その傍らで、目を丸くしたままの夫妻がドレスに近寄り、まじまじとその美しさを観賞していた。
「………素晴らしい!………私達の目に狂いはなかった…!………サリッサレム、貴女にお願いして本当によかった!心から礼を言うよ!」
名も無いまだまだ若手のサリッサを選んだ事に間違いは無かった、と娘同様に主人は喜んでいた。
その主人に握手まで求められ、サリッサはエリザベスに抱き付かれたままとにかく手を差し出した。
「……ドレスはこれでもう完成なのかしら?」
その中で一人、まだドレスを眺めていた夫人がサリッサに訊いた。


