亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~

でも今は………全然違う考え方をしている。





そう、例えば…。












例えばね。






















………貴方が好きになってくれるには、どうすれば良いのか。






どうすれば、喜んでくれる?






どうすれば………貴方は…。




















(………ここに刺繍を……ここにも…………………あ……背中にはリボンをあしらって…)












羽根ペンの舞いは止まらない。

感情のまま。衝動のまま。




サリッサは描き続けた。



その間、ずっと頬を仄かに赤く染めていた事など、気付く筈も無く。


果たして誰に見て欲しいのか、誰に笑ってほしいのか。

………その『誰か』を誰と重ねているかなど………無意識で、やはり気付く筈も無かった。




「………花嫁……綺麗な花嫁。………良いなぁ…。………………………綺麗かしら?………綺麗かな?………綺麗ね……とっても…」



































「―――………凄いわ…」



エリザベスの漏らした声と共に、息をのむ小さな音が疎らに聞こえてきた。

この館の旦那様と奥様、そしてエリザベス。通り掛かっただけだったが、思わず足を止めて魅入ってしまった召使。

彼等の視線の先にあるのは………。















―――芸術、だった。











淡いピンク色を帯びた、シルクの様な光沢を放つドレス。光の加減でその表面には細かな刺繍が浮かび上がり、滑らかな積雪の表面の如く輝いていた。