テーブルの上に広がったデザイン画を両手で掻き集め、荷袋に突っ込み、その辺に放置した。
椅子にかけておいたマントに手を伸ばし、羽織りながら扉に向かう。
「………サリッサ…?」
「………すみませんっ……今日は………もうっ………!」
早く。
早く……逃げ出したい。
ここから……逃げてしまいたい。
………どうして…?
…どうして私は………逃げているの?
………何が怖いの?
………何が…。
例え様の無い奇妙な恐怖に駆られ、サリッサは乱暴にドアノブを掴んだ。
……その直後。ドアノブを回そうとしたサリッサの手に………色白の大きな手が、後ろから重ねられた。
ビクリと、サリッサは思わずドアノブを離そうとしたが………重ねられた手は、サリッサの手をしっかりと握り締めた。
………いつの間に、こんな距離を詰められたのか。
振り向かずとも、背中に伝わってくる体温や微かな吐息で、彼がすぐ後ろに立っているのが分かった。
………動けない。
……彼の顔を見れない。
彼はこんなに背が高かったのか。
細身に見えていたが、こんなにも、大きな身体だったのか。
自分一人くらい、簡単に覆い尽くせそうな…。
「………サリッサ」
すぐ耳元で、低い声音の…真剣な彼の声が聞こえた。
無意識に、サリッサの身体は震えた。
「………同情でも…何でもいいから……嫌いにならないでくれ。………………ごめんよ…サリッサ。…………………………………………好きなんだ…」


