時折、マネキンの周りをグルグル回って眺めたり、レースをあててみたりと試行錯誤を繰り返した。
……背後では、飽きずに飾りを眺めている彼。
多弁な彼が、今日は何故か不思議と静かだった。
どうしたのだろう、と思いながらも、サリッサの頭の中はすぐにデザインの事で埋め尽くされ、気にする暇が無かった。
………雪の飾りを指で弾いて、手の平に乗せて、ただただジッと見詰める。
………男はふと、飾りからサリッサに視線を移した。
椅子の背も垂れに頬杖を突き、ジッと、その仕事に熱中する華奢な背中を眺める。
………その視線を感じたのだろうか。
サリッサは不意に、こちらに振り返った。
彼女の大きな瞳が、不思議そうに、自分をまっすぐ見詰める。
「………どうしました?」
「…ん?……何でもないよ」
そうですか…と、再び仕事に打ち込み出すサリッサ。
そんな彼女の姿は、何故か見ていて楽しい。この館の中で目に映る景色の中で、きっと一番、見ていて飽きない。
………しかし、彼女の姿も………あと数日すれば、見なくなるのだ。
この館は、再び……つまらない籠となる。
………それは…。
「ねぇ、サリッサ」
「………はい?」
声を掛けると、サリッサは笑顔で振り向いてくれた。
白いリボンを何処に付けるか迷っている様だ。
「君の仕事は、いつまでだったかな?」
「………あと……四日で終わりです」
あと、四日。今日いれて、四日。
あと、四日。
「………そう…早かったね…」
「………はい…」


