暇で暇で、つまらなくて、見飽きた、居飽きた籠の中。
そんな籠の中に入って来た自分は、彼にとって、憧れであった外のもの。外の住人。
………ならば、少しでもいいから………飛べない彼の、退屈しのぎになろう。
私で、良ければ。
もう、一週間も無いけれど。
短い時間しか無いけれど。
私なんかで、良ければ。
「………………何かな…これは?」
彼は瞬きを繰り返しながら、その小さな物体を指で摘んでまじまじと見詰めた。
親指の爪程しかない小さなそれは、純白の花の様な形をしていた。光の加減で様々な輝きを放つ。
「………えー…と…………雪の結晶をデザインした……もので。………あまりの生地で作ったものです。………シルクで作っているから……質は良い筈です………紐なんか通せば、首飾りになるし……コサージュなんかにも……なります。………………あの………一流の仕立て屋が作れば…もっと良いものになると……」
「…くれるの?」
「………えっ……いや………ああああ、あの………お気に召さなかったら……捨てても………構い…ません……から」
せっかくだから、何か差し上げよう。
貧乏仕立て屋の小娘が作った物など、持っているだけできっと恥だろうし………なんと言うかもう……捨てるしか無いだろうけれど。
それでもいいから、何か形として残る物を彼にあげたかった。
………これは哀れみだろうか。同情だろうか。
察しのいい彼は、返って気を悪くするかもしれないけれど。
………私は何をしているのかしら…。
サリッサは恐る恐る顔を上げてみた。


