亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~





……そうだ。

………どういった事情かは知らないが………彼は、この館から一歩も出られない。一歩も。

………外に出てはならない人。この籠の中で生まれ、籠の中で生きる事を義務付けられた……完全なる、籠の鳥。

この鳥が、世間という外に飛び立つことがどういう事態を招くかなど、知らない。

とにかく、あってはならない。


外に見られては、ならない。






籠の中の、鳥。












「………気違いになってしまわない様に、明るく考えていくしかないね。………すまないね、サリッサ。君に言っても仕方が無…」

「出ればいいじゃないですか」














………彼の言葉を遮り、サリッサは、言った。

案の定、彼はサリッサを見詰めたままポカンとしていた。






「……嫌なら、抜け出せばいいじゃないですか。………籠の中から。………………抜け出すのは、得意でしょう?」


サリッサはそう言って、微笑を浮かべた。















籠の中が嫌ならば、抜け出せばいい。


好きな所に行って、好きなだけ歌って………飛び回って。







そうだ。








皆、自由なのだから。








「………面白い事を言うね、君は。………サリッサは……自由に飛び回っているのだね…」

「………と言うより、家が無いので…飛び回るしかないと言いますか…」

「………いや……羨ましいよ。飛べる君が……私は羨ましい。………君の言う通り………抜け出してしまいたいね。………だけど私は…」

彼は、笑みを浮かべた。

何処か切なげな、哀しい…。















「飛び方を、知らないんだ」