……そうだ。
………どういった事情かは知らないが………彼は、この館から一歩も出られない。一歩も。
………外に出てはならない人。この籠の中で生まれ、籠の中で生きる事を義務付けられた……完全なる、籠の鳥。
この鳥が、世間という外に飛び立つことがどういう事態を招くかなど、知らない。
とにかく、あってはならない。
外に見られては、ならない。
籠の中の、鳥。
「………気違いになってしまわない様に、明るく考えていくしかないね。………すまないね、サリッサ。君に言っても仕方が無…」
「出ればいいじゃないですか」
………彼の言葉を遮り、サリッサは、言った。
案の定、彼はサリッサを見詰めたままポカンとしていた。
「……嫌なら、抜け出せばいいじゃないですか。………籠の中から。………………抜け出すのは、得意でしょう?」
サリッサはそう言って、微笑を浮かべた。
籠の中が嫌ならば、抜け出せばいい。
好きな所に行って、好きなだけ歌って………飛び回って。
そうだ。
皆、自由なのだから。
「………面白い事を言うね、君は。………サリッサは……自由に飛び回っているのだね…」
「………と言うより、家が無いので…飛び回るしかないと言いますか…」
「………いや……羨ましいよ。飛べる君が……私は羨ましい。………君の言う通り………抜け出してしまいたいね。………だけど私は…」
彼は、笑みを浮かべた。
何処か切なげな、哀しい…。
「飛び方を、知らないんだ」


