エリザベスの婚儀まであと一週間足らず。
半ば焦って作業を続けてきたが、このペースならなんとか間に合いそうだ。
……しかし、実はまだ…細かいデザインは思い付いていなかった。
……浮かんでくるのは陳腐なデザインばかりで、段々と嫌気がさしてくる。
頭を抱えてテーブルに突っ伏し、ギュッと目を瞑り………フッと何かが浮き上がってこないかと期待してみる。
(………限界の中の限界まで………来たのかしら……)
…追い詰められている。
そんな感覚が襲って来るのはいつもの事。だけどその恐怖に打ち勝つ術は無く……耐えるばかり。
限界を感じるというのは………どうしてこんなにも、絶望の淵に立たされた気分なのだろう。
「………サリッサ―?」
突っ伏したまま動かないサリッサに、いつもの定位置となった椅子に腰掛けた男が、声を掛けた。
「………………君のお母上は、病にかかっているのだったね?」
…サリッサはゆっくりと顔を上げ、男に振り返った。
………何故、唐突にそんな話をし始めるのだろうか。
…正直な話…これ以上、仕事以外に時間を費やしてはならなかったが、サリッサはこの会話に賛同した。
………頭を悩ませる自分を見兼ねて、気晴らしのつもりで話しかけてくれたのだろうか。
………そもそも、そんな人なのかさえ分からないが。
「………はい。………街の外れの…借家で……母と暮らしております………」
「……この一ヶ月間だけでも、この館で療養しても良いって……夫妻が言ってくれたのだろう?」


