亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~



…スキップ……。





その微笑ましい様は見掛けとは裏腹に、まるで少年だなぁ…と思いながら、サリッサは仕事部屋に入った。




















採寸通りの型紙を切り抜き、マネキンに当てながら端々を待針で止めていく。

手の甲に巻いた針山から何本も待針を抜いては刺し、抜いては刺し………一旦息を吐いて、サリッサは椅子に腰掛けた。


………使いたい布や、レースや、飾り。

パーツは決まったのだが、それらが頭の中で上手くまとまってくれない。

…何と言うか…統一性が無いのだ。




色とりどりの綺麗な花が沢山あっても、それをまとめきれなければ意味が無い。

その花の美しさを生かすも殺すも、全てはサリッサ次第なのだ。



サリッサはすぐに立ち上がり、まだ型紙しか纏っていないマネキンの前で膝を突いた。






………どんなデザインが良いか。

……どんな形が良いか。

………どんな…どんな……。




………『どんな』…?















(………………美術を仕事にしてしまうと……すぐこれね……)






……そうだ。

美術とは………考えるものじゃない。悩むものなんかじゃない。






溢れる思いを、その時の感情を、そっくりそのまま表現し、形にするのが本当の芸術家。


自分だけの世界を作るのが、芸術家。


何物にもとらわれず、己の希望や理想を貫くのが、作家なのだ。






………そんな芸術を、仕事にしては、いけないのだ。















(………行き詰まるなんて………情けないなぁ……)

サリッサは溜め息を吐き、手元の羊皮紙をパラパラと捲った。