亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~

……くるりと、サリッサは見上げたまま………………前に向き直った。







…次の瞬間。

…色鮮やかで、品のある模様や絵画が所狭しと映っていたサリッサの視界に…。
















―――…人、の顔が…映った。






…絵画でも彫刻でもない、生きた人間の、顔。

しかし、ある意味芸術と言っても過言では無いくらいの、均整のとれた美しい顔。
こちらを唖然とした表情で見下ろしてくる、背の高い、男性。





………顔。





………他人。






















―――………瞬間、サリッサは我に返ると同時にサッと青ざめた。

(私………さぼってた!?)


サリッサは条件反射で深々と頭を下げた。

このやけに綺麗な男性は何処の誰かは知らないが、この館にいるということは依頼人の関係者、もしくはここで働いている人間に違いない。


おろおろしながら、サリッサは慌てて口を開いた。




















「も、申し訳ありません!!さ、散歩というか…!つい夢中になってしまって!」

「!お願いだから今回は見逃してくれないかな!あと五分したらちゃんと戻るからさ!」






















………。


















………ん…?


















ほぼ同じタイミングで口を開き、且つ言い訳に近い台詞を吐いた……サリッサと、目の前の男性。


…サリッサは恐る恐る顔を上げると、目前の男性はやはりキョトンとしていた。