亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~




色は蛍光ピンクがいい!とはしゃいでいたお嬢様だったが、それを聞いた奥様が「はしたない!白、もしくは黒にしなさい!」と断固拒否した。

しかし、明るいピンクに拘るお嬢様の要望は強く、サリッサが呆然と見守る親子同士の口喧嘩の末、白を基調とした淡いピンクのドレスに決定した。


………お嬢様はやや不服の様だったが。







さて、ドレスの色は決まった。
あとは、ドレスの善し悪しを決めるデザインのみだ。

あのお嬢様に似合う様な、可憐で…上品でありながら少女の様な可愛らしさもあるデザインがいい。

仕立て屋にとって、デザインというものは腕の見せ所だ。どれ程のセンスを持ち合わせているのかが判断される。

………しかも今作っているのは、ただの衣服ではない。


………花嫁衣装。
……女性の、最高の晴れの舞台に着る……自分だけの、唯一無二の衣装。


………そんな、大層なものを作る今の自分は、正直…まだまだ勉強不足だ。

もっと仕立ての腕を上げて、想像力を豊かにして…。



















(………それでも、まだ足りない…か…)

質素な裸のマネキンを目の前にしながら、サリッサは苦笑を浮かべた。

………いつもの事だが……ああ、駄目だ。………………何も思い付かない。



溢れんばかりの色んなデザインが頭の中で交差し続けるが、どうしても噛み合ってくれない。

しっくりこない。
在り来たり過ぎる。
納得いかない。





納得、いかない。













手元にある、途中まで描いていたデザイン画を無造作に丸め、テーブルの端に追いやった。