「………明日は物凄い吹雪きになりそうね。段々と風の音が強くなっているみたいだわ…」
「………………『嵐』が生まれていなければいいけど」
「ねぇ、サリッサ。…………………いつ、この街を出なければならないの?」
その母の一言に、サリッサは笑みを引っ込めた。
母は相変わらずニコニコしている。
「………………あと、一ヶ月は…」
「サリッサ、貴女は嘘をつくのが本当に下手ね…。……………ちゃんと分かっているのよ。………私の薬代のせいでお金が無くて………もうこの借家を使わせてもらえないって事くらい…」
……サリッサは俯いたままギュッと口を結び、唇を噛んだ。
………稼いだお金の半分は、高額な母の薬代に消えていた。
もう半分で食糧等の必要な物を買うと、お金はあっという間に底を尽きた。
………そのため、借家の主に借賃が払えない。
せめて、母の病気が軽くなるまで借家を使わせてほしいと懇願し、なんとか乗り切って来たが………これ以上の長居は無理な様だった。
………おまけに、薬代も払えない状況になりつつある。
「………ごめんなさいね…。………大丈夫よ…次の街に行く位の体力はあるから…」
「………………駄目よ。………それで悪化したら、元も子もないでしょう……………大丈夫よお母さん。……あのね…仕立ての依頼がまた入ったの。………お金ならなんとかなるから……お母さんは安静にしていてちょうだい…」
「………………そう…」
心配させまいと、サリッサは嘘を吐いた。
本当は依頼なんて入っていない。たとえ入ったとしても、大した稼ぎにはならない。
強がってはいても、やはり一寸先は闇だった。


