ほぼユノが一方的に話し掛け、レトがそれに答えるという、あまり続かない会話を繰り広げる二人。
そんな二人の子供を先頭に、やや距離を取って続く彼等の親。
半ば観察する様に我が子の幼い後ろ姿を眺めながら、サリッサは苦笑を浮かべた。
「………慎重に進まなければならないのに……あんなに騒いでて良いのかしら…?」
サリッサに歩調を合わせて隣りを歩くザイは、ちらりとサリッサを一瞥し、溜め息を吐いた。
「………周りにそれらしい気配が無い故……多少騒いでも構わないが…。……王子は、いいとして………レトまで…。………申し訳ない………狩人として常に警戒を怠るなと教えてはいるのですが………我が息子ながら……恥ずかしい…」
「………そんな事、ありませんわ…」
そんなに真面目に考えなくても…。
口元に手をあててクスクスと笑い、サリッサは肩を竦めた。
「………本当に…良い子ですね…レト君は…」
「………はぁ…。………そうでしょうか」
「フフッ、そうですよ。………………本当に良い子………感謝しきれませんわ…」
………感謝…?
………はて。息子がそんな誉れ高き事をしただろうか。
ザイは今までの記憶を辿ってみるが、これといって特に無い…と思う。
仏頂面のまま無意識で首を傾げるザイ。その妙に可愛らしい仕草がおかしくて、サリッサは隠れて笑みを零した。
「そんな大層な事じゃありませんわ。………でも……私にとっては……大層なものですの………。……………………ユノの………あの子のあんなに楽しそうな顔………………………………初めて…見ました……」
薄い笑みを浮かべたまま、サリッサは、我が子を見詰めて言った。


