亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~











「前から疑問に思っていたんだけど、君等の扱うその携帯しやすい弓って、狩人共通の武器なんだよね。………じゃあ、狩人は皆持ってるのかい?」

「………………うん………一人前になったっていう証なんだけど。………………一年に一回、沢山の…狩人が集まる祭礼が…あってね………そこで一人前って認められたら…貰えるんだ……」

「………………貰うって………誰から?」

「………………『神木』からだよ。三大世界樹の…一つらしくて………枝を頂けるの…」




珍しく雪が降り止んだ昼下がり。

凍て付いた針葉樹林と枯れ木の群集の隙間を埋める様に身体を滑り込ませながら、レト達一行は進んでいた。


どれくらい進んだのだろうか。
振り返ると、夜明けまでいた神声塔の姿は、もう小さくなっていた。
大木の如く太い、天を見据えていたあの姿は、今は垂直に突き刺した針のシルエットの様だ。


日が暮れるまでには、なんとかこの谷沿いから離れたい。
夜になると夜行性の獣が谷周辺から出て来るのだ。
昨夜は神声塔という寝泊まりにはちょうど良い場所があったから良かったが、ここから先は何も無いに等しい。
唯一、小さな街が孤立してあるが、そこは到着地点の『禁断の地』のすぐ側で、ここからはまだだいぶ距離がある。




……しばらくは固い岩場で眠る日々が続きそうだ。

レトやザイはそれが常だからいいものの、ユノとサリッサの親子に関しては何とも苦痛な筈だ。



……急ぎつつ、彼等の体力を気を遣いながら………。


難しいけれど、致し方ない。