亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~

ザイを見詰めながら真顔で言うユノ。


レトとザイは互いに見合い、小首を傾げた。

「………風邪なんぞ…………体調管理は万全だが…」

「………なんか急に……鼻が…ムズムズして……」


生まれてこのかた病気になどかかった事の無い…むしろ縁も無い二人。

そんな二人の前で、ユノは何か思い出した様に手を合わせた。




「誰か君等親子の噂でもしてたんじゃないかい?ほら…くしゃみをした時は誰かが自分の噂をしているって言うしね」

………と、よくある話を何気無くしたが、それに対し、二人は分かっていないのか…ただ瞬きを繰り返した。


「………噂?………………いや……我等狩人の中では少し違う。………くしゃみが出た時というのは………」

「…………………………………恨みを買った時……………だっけ?…父さん」



そう言ってザイを見上げると、彼は深く頷いた。
………あまり穏やかではない話だが………ユノは冗談、と笑い飛ばした。

「そっちの方こそただの迷信だよ―。恨みだなんて。しかもたった今?まだ噂されてるっていう方が信じれるね」

「………………そういうものなのかな…父さん」

「………それで良いのではないか…?」






どうでもいい事、よくない事に関わらず、大体の事柄は忘れてしまうある意味いい性格もあり、それから二、三歩歩いた二人の頭には、くしゃみをした事自体の記憶がすっかり無くなっていた。






























まだ憤慨しているリストのすぐ側に降り立ち、イブは辺りを見回しながら神声塔に足を踏み入れようとした。

(……罠はこれ一つみたいね―………ちゃっちゃと終わらせよ…)