亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~

「こんな…こんな小癪な罠なんか………仕掛けやがって………!!……何処のどいつだ!!何処の、どいつで、どんだけ酷なんだこん畜生がぁ―!!………………恨むぞ……ああ恨むぞ……生涯恨むぞ…あああああああ!!」




黒いオーラを放ち何かを固く誓ったリストを見下ろしながら、イブは改めて仕掛けられた罠の残骸を見渡した。




リストが触れようと近寄った赤い点……臭いからして何者かの血液だが、あれはどうやら囮だったようだ。

迂闊に近寄ると、手前に仕掛けられていた罠が、標的の重さで発動する仕組みだ。
蜘蛛の糸よりも細い、透明で頑丈な糸。


…それは塔の頂上から谷を越えた先の森にまで伸びており、糸が外れると同時にまず、塔の上にぶら下がっていた刃が落下し、続いて森の木々に設置していた数え切れないくらいの刃と麻袋が勢いよく発射される。


避けられた事も想定され、計算された……シンプルでありながら狂いの無い、本気の罠。




………短時間でこの罠。これも、狩人のなせる技か…。


王族と同行している狩人が、念には念を…足止め出来れば、と仕掛けて行ったのだろう。

………足止めで済むレベルではないが。

「あああああああ!!しばく!!絶っ対にしばく!!畜生があぁ!!」



























「「―――…ヘックチ」」












……深雪を踏み締めて黙々と歩いていたレトとザイの親子は、何の前触れも無く、二人揃ってほぼ同時に小さくくしゃみをした。

「………風邪かい?えらく可愛いくしゃみだね。ていうかさ、レトは分かるけどザイはどうかと思うよ今の」