鍛えに鍛えたこの運動神経は、この日のためのものだったのか!?
…と、多分違うだろうが、そう思っても不思議では無い程、リストは死に物狂いで短剣を振った。
鋭利な銀の閃光の切っ先が、頭に肩に腹に腕に足に………。
……まっすぐ飛んで来るそれらを、紙一重で避け続けた。
………途端、刃とは違う大きな物体が、視界に飛び込んで来た。
刃の群れに紛れて飛来するそれは………麻袋…?
リストの短剣は条件反射により、その正体不明の麻袋を真っ二つに切り裂いた。
………が。
………直後、ただでさえ純白の雪景色しか無い視界が、更に白く染められた。
「―――っ!?」
切り裂いた麻袋から飛び散ったのは、この国ならば何処にでもある細かな雪。
舞い散ったそれは粉塵となり、一瞬、リストの視界を遮った。
(―――…しまっ…!?)
まるで、濃い霧の中にいる様な状態。
予想外の不意打ちに面食らいながらもすぐさま前に向き直ったリストの、目と鼻の先に………。
刃渡り約二メートルはあるであろう、巨大な刃が。
乗り越えろ、俺!
「―――っ!?」
弧を描きながらリストの頭を横に真っ二つにするべく飛来した刃。
避けるには遅過ぎる絶体絶命の窮地で、リストは………………………………瞬間、口で受け止めた。
ガチンッ、という金属を噛む鈍い音が鳴り響いた。
長い刃の中央辺りを噛み締め、なんとか……受け止めた。


