最高権力者の王の命令は無視して、側近と王子の命令は聞くのか、とでも言いたげな表情を向けられたが、ウルガはその一切を無視し、使者達の後にゆっくりと続いて歩き出した。
………重度の警戒は、こちらが恐れている事の現れともとられる。
異端者など恐れない、という意思を示さねば、最初からこちらの負けだ。
(………しかし…緩過ぎてもいかんな)
使者達の先頭を歩く老人の後ろ姿を眺めながら、ウルガは思った。
……その老いた風貌や下手に出る態度で上手く隠しているが…。
………老人とは思えない均整のとれた動作、余す所無く観察し続ける眼光、脅しにも臆する気配の無い不動の精神…。
(………ただ者では無い………か)
伊達に使者という重役を任されていない。
腰に差した短剣の重みを感じながら、ウルガは進んだ。
魔の者は皆、緑の髪と瞳という揃った容姿をしているが、皆兄弟か何かなのだろうか。血は繋がっているのだろうか。
自分の傍らに立つ魔の者を横目で眺めながら、アイラは何気無く考えていた。
側にいるのは、緑の髪を後ろの高い位置に結い上げ、こちらを不思議そうに緑の瞳で見詰めてくる、アイラの腹心である魔の者だ。二十代位の若者の姿をしている。
物心ついた時から…いや、もっと前から常に側にいる魔の者。
―――名は、カイ=ナ=モウロ。
アイラにとって残念なことに、性別は男だ。
…これで女性ならば嬉しかったのに、などと贅沢は言えないが。
カイは握っている杖を床に突き、じっと見てくるアイラに対してとりあえず微笑を浮かべた。
………重度の警戒は、こちらが恐れている事の現れともとられる。
異端者など恐れない、という意思を示さねば、最初からこちらの負けだ。
(………しかし…緩過ぎてもいかんな)
使者達の先頭を歩く老人の後ろ姿を眺めながら、ウルガは思った。
……その老いた風貌や下手に出る態度で上手く隠しているが…。
………老人とは思えない均整のとれた動作、余す所無く観察し続ける眼光、脅しにも臆する気配の無い不動の精神…。
(………ただ者では無い………か)
伊達に使者という重役を任されていない。
腰に差した短剣の重みを感じながら、ウルガは進んだ。
魔の者は皆、緑の髪と瞳という揃った容姿をしているが、皆兄弟か何かなのだろうか。血は繋がっているのだろうか。
自分の傍らに立つ魔の者を横目で眺めながら、アイラは何気無く考えていた。
側にいるのは、緑の髪を後ろの高い位置に結い上げ、こちらを不思議そうに緑の瞳で見詰めてくる、アイラの腹心である魔の者だ。二十代位の若者の姿をしている。
物心ついた時から…いや、もっと前から常に側にいる魔の者。
―――名は、カイ=ナ=モウロ。
アイラにとって残念なことに、性別は男だ。
…これで女性ならば嬉しかったのに、などと贅沢は言えないが。
カイは握っている杖を床に突き、じっと見てくるアイラに対してとりあえず微笑を浮かべた。


