何十回も、何百回も、何千回も、何万回も…。
聞いて聞いて聞いて耳にして、鼓膜に色が付くぐらい染み付いた………うんざりする、その聞き慣れ過ぎた声。
………ここ数十年は聞こえる事などなかったから……ちょっとご機嫌だったのに。
……近頃は頻繁に聞こえる様になってきて……それはそれはもう、ご機嫌斜めなのです。
もう、聞きたくない。
貴殿のその威張り散らした声は、癪に障る。
姿も見せず、声だけというのが……更に苛立たせる。
反抗的な重臣で申し訳無い。
常に反抗期な腹心で申し訳無い。
でもね、私は他の同胞と同じく貴殿に頭を下げたり、忠誠を誓ってもやはり………貴殿が嫌いだ。
ええ、口には出しませんが心の中で断言致しましょう。
………私は貴殿が嫌いだ。
主人である貴殿が、大嫌いだ。
だから………貴殿の声が何処からか聞こえてしまった今…私の、夢心地だった気分はあっという間に墜ちてしまった。
内心、酷く苛々しながら目を覚まし、長過ぎる緑の髪を踏まない様にしながら立ち上がった。
お気に入りのスペースである玉座の後ろから、夜の闇に塗れて黒しか無い、広大な室内をぼんやりと見渡した。
半透明の厚い氷で塞がれた窓から、雪雲が覆い尽くす夜空を眺める。
常に雲が這っていて、星など久しく見えていないどんよりとした空。
その雲の群集の中に、一瞬……一筋の光が瞬いた様な気がした。


