さっきまでの苦しみ様は何処へやら。
今はただひたすら、証明された己の本来の身分に喜び…………どうしようも無く、酔っていた。
たいていの者は、一国の王者であると分かれば同様の態度をとるかもしれないが………彼の喜び様は少し異様だった。
『王』という言葉、身分、存在に、酷く執着しているのだ。
………………それとも、これが…当たり前なのだろうか。
真っ暗闇の中で声を上げて喜びに浸るユノ。
手を握られたままピョンピョンと跳ねるものだから、レトの身体もつられて軽く跳ね続けた。
なんとか元気になった息子を見ながら、サリッサは静かに安堵の息を漏らす。
子供二人の足元で、真似をしているのか、アルバスも無心でジャンプを繰り返していた。
不思議な程、妙に賑やかな光景を遠巻きに見ながら、ザイは溜め息を吐き………フッと、表情を曇らせた。
王子と共に小さく跳ねる息子の首元に、反動で揺れ動く首飾りが一つ、ザイの視界に入った。
…レトが首に掛けているのは、半分に欠けた色鮮やかな石が付いた首飾り。
………証石だ。王族のこの親子の護衛依頼を承諾した、前の狩人から引き継いだ証石。
………依頼内容は、『神声塔までの護衛』。
子供達は分かっているのだろうか。
…そう………つまり……神声塔に着いた後の、これから先は……。
………別れしか、ないのだ。


