『………予の青き大国……凍て付くデイファレトよ…。…………予の高貴なる血筋よ……その身に値する、最たる王へと戻り……再び大地を万世の世へと導け…。………“戦士の月”が…昇るまでに……。………さもなくばそなたの青き国………………“目覚めの災い”が降り懸かるであろう……』
―――そう言い終わった途端、天井からこちらを見下ろしていた純白の魔方陣は光の粉塵となって消え失せた。
天井にちりばめられた星空の様な『アレスの書』の文字も光を失い、高い神声塔は再び真っ黒なただのシルエットと化した。
神々しい光も、空気も、気配も無くなり、室内はあっという間に冷え冷えとした凍て付いた部屋に戻った。
ぐるりと囲んでいた蝋燭も、今は青白い輝きも無く、ただただ冷たい。
………静寂が、舞い戻ってきた。
視界に入るのは、やはり殺風景な室内。
つい今し方の神秘的な現象が、まるで夢の様な一時に思えた。
「―――……っ………けほっ…ごほっ……!」
……ピクリとも動かなくなった少年は、レトに背中を支えられたままの状態で突如、息を吹き替えしたかの様にスッと息を吸い、激しく咳き込んだ。
ユノは喉を押さえながら咳き込み続け、冷たい床に膝を突いた。
「……ユノ!!」
ハッとした様にサリッサは叫び、苦しそうに肩を震わせる息子の側に駆け寄った。
大丈夫?、と同じ様に声を掛けようとレトは屈んだ。


