一切の感情の無い、威風堂々とした、響き渡る幼い少年の声。
その言葉の一つ一つが空気に晒される度に、頭上の魔方陣は輝きを増し、白の魔術は威力を拡大していく。
………人形の様に口だけを動かす少年の手を握り締めるレトに、じわりじわりと魔術の冷たさが噛み付いてくる。
………彼を見る度に、こんなに綺麗な人間がいるのだな、まるで人形の様だ……と思っていた。
………だが、今はどうだろう。
………本当に……人形の様ではないか。
繋いでくれた彼の手はこんなにも………冷たかっただろうか。
………掴み慣れた、雪と同じ………冷たさが、感じられる。
『―――………思慮深き人間よ…生たるものの王者よ…予を崇め、予を見上げる三国の王よ。………予の世界は今…そなた達が業により、戦…悪政…狂乱…絶望…死者に満ち溢れ………予の世界の均衡は悪たるものへと傾きつつある………』
―――予は悲しい。
―――予は悲しい。
―――予は、悲しい。
―――予は………。
………ユノの姿である“神”と名乗る者は、何度も何度も、人の業が招いた世界の姿を、やはり無感情な声で嘆き悲しんだ。
呟く様な言葉が綴られた彼の唇が、またゆっくりと開いた。
『―――………この悪たる姿、予が見下ろす予の世界は………予の誓文に反するものである………』


