亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~


白の魔術は、君臨する王にしか扱えない、極めて神聖な独特の魔術。

それを、まだ王にもなっていなければ玉座にも座った事の無いユノが、不慣れながらも扱えている。




初めて目にする白の魔術を前にしながら、ザイもまた、何も出来ずにいた。

……上手くコントロールが出来ないと聞いた。

…………暴発だろうか?










「………………痛いっ!………痛いよ………………っ…………ああっ…!」


赤く染まった両目を押さえ、不可思議な痛みに悶え苦しむユノが、とても痛々しい。
代わってやれるものなら代わりたい。

だがどうする事も出来ない。






「…ユノ……!………っ……!?」


今彼に近寄れば、白の魔術に巻き込まれてしまうが、レトは構わず傍らで屈み、蹲ったまま震える彼の肩を掴んだ。




―――その、直後だった。

























ぼんやりと明るい視界の上半分が、眩しいくらいの純白の光に覆われた。

星の様に瞬く青白い碑文の光とは異なり、それはもっと眩しい……神々しい…。






反射的に見上げたレトの目には、アレスの碑文ではなく、それを覆い尽くす様に広がる………………一つの魔方陣が、映った。





純白の光を放つそれは、細かなレースの様な美しい模様で、まるで花の様。

文字らしいが全く読めない記号の群集が、ゆっくりと回転する魔方陣の縁に沿って刻まれていく。




天井に忽然と現れたそれは、蹲るユノを見下ろしているかの様だった。