白の魔術は、君臨する王にしか扱えない、極めて神聖な独特の魔術。
それを、まだ王にもなっていなければ玉座にも座った事の無いユノが、不慣れながらも扱えている。
初めて目にする白の魔術を前にしながら、ザイもまた、何も出来ずにいた。
……上手くコントロールが出来ないと聞いた。
…………暴発だろうか?
「………………痛いっ!………痛いよ………………っ…………ああっ…!」
赤く染まった両目を押さえ、不可思議な痛みに悶え苦しむユノが、とても痛々しい。
代わってやれるものなら代わりたい。
だがどうする事も出来ない。
「…ユノ……!………っ……!?」
今彼に近寄れば、白の魔術に巻き込まれてしまうが、レトは構わず傍らで屈み、蹲ったまま震える彼の肩を掴んだ。
―――その、直後だった。
ぼんやりと明るい視界の上半分が、眩しいくらいの純白の光に覆われた。
星の様に瞬く青白い碑文の光とは異なり、それはもっと眩しい……神々しい…。
反射的に見上げたレトの目には、アレスの碑文ではなく、それを覆い尽くす様に広がる………………一つの魔方陣が、映った。
純白の光を放つそれは、細かなレースの様な美しい模様で、まるで花の様。
文字らしいが全く読めない記号の群集が、ゆっくりと回転する魔方陣の縁に沿って刻まれていく。
天井に忽然と現れたそれは、蹲るユノを見下ろしているかの様だった。


