弧を描いた光が、突如乱入した別の光沢と交差したかと思うと……………高い天井にむき出しの刃が音を立てて刺さった。
唖然とする兵士の手には、刃の無い単なる棒と化した槍が虚しく握られていた。
………兵士とアレクセイの足元には、何処から飛来してきたのか………槍の刃を根元から砕いた短剣が落ちていた。
「―――見苦しいぞ……喚くな」
…重みのある、落ち着いた低い声が聞こえた。
同時に、兵士達を掻き分けて中央に近付いて来る男が一人。
その人物を瞳に捉えるや否や、兵士はサッと青ざめ、静かに一歩後退した。
「………ウルガ様…」
「…少し黙っていろ」
………何か妙な威圧感を、存在感を感じさせる、この長身の男。
ウルガという名で、この状況からして兵士達の上に立つ身分であることが分かる。
ざんばらの黒髪から覗くやけに鋭い眼光が、真直ぐアレクセイに向いた。
ウルガは無言で、アレクセイの前でその大きな身体をグッと曲げ、足元の短剣を拾った。
…よく使いこなされた古びた短剣を、ウルガは腰の鞘に差し込んだ。そしてすぐに、赤いマントの下に隠された。
「………手荒な歓迎で申し訳ない………そちらにはそちらのやり方というものがある。我等はそれを、尊重しよう…」
「………話の分かる方で。……安心しました」
アレクセイは笑顔で応えたが、ウルガの目付きは相変わらずだ。
「………武器を隠し持っているなど…当たり前の事だ。…しかしそちらはあえて、それを親告した。………………敵意は無い、ととるつもりだ…」
…隠し持つとはいえ、その事を黙っている訳では無い。敵意は無いと示すために、この老人はばらしたのだ。
唖然とする兵士の手には、刃の無い単なる棒と化した槍が虚しく握られていた。
………兵士とアレクセイの足元には、何処から飛来してきたのか………槍の刃を根元から砕いた短剣が落ちていた。
「―――見苦しいぞ……喚くな」
…重みのある、落ち着いた低い声が聞こえた。
同時に、兵士達を掻き分けて中央に近付いて来る男が一人。
その人物を瞳に捉えるや否や、兵士はサッと青ざめ、静かに一歩後退した。
「………ウルガ様…」
「…少し黙っていろ」
………何か妙な威圧感を、存在感を感じさせる、この長身の男。
ウルガという名で、この状況からして兵士達の上に立つ身分であることが分かる。
ざんばらの黒髪から覗くやけに鋭い眼光が、真直ぐアレクセイに向いた。
ウルガは無言で、アレクセイの前でその大きな身体をグッと曲げ、足元の短剣を拾った。
…よく使いこなされた古びた短剣を、ウルガは腰の鞘に差し込んだ。そしてすぐに、赤いマントの下に隠された。
「………手荒な歓迎で申し訳ない………そちらにはそちらのやり方というものがある。我等はそれを、尊重しよう…」
「………話の分かる方で。……安心しました」
アレクセイは笑顔で応えたが、ウルガの目付きは相変わらずだ。
「………武器を隠し持っているなど…当たり前の事だ。…しかしそちらはあえて、それを親告した。………………敵意は無い、ととるつもりだ…」
…隠し持つとはいえ、その事を黙っている訳では無い。敵意は無いと示すために、この老人はばらしたのだ。


