亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~

「………ユノ…?」


我が子の異変にいち早く気が付いたサリッサが、不安げな表情で彼の傍らに歩み寄った。

散々揺さぶられてしっかり覚醒したレトも、急に大人しくなってしまったユノの様子を窺う様に顔を覗き込んだ。




「………ユノ……?」



動かぬ彼の細い肩に手を掛けようとした………直前。




















………室内の一角に突然、青白い光が点された。






不可解な光が視界に入るや否や、ザイとレトはほぼ同時に反射的に背中の剣を抜き、振り返った。


殺気を露にした二人の鋭い眼光は背後に向けられ、その光源を映した。


瞳の中央で揺らめく青白い光の源は………蝋燭だった。



………いつ、誰が点した?





そんな単純な疑問が浮かび上がる前に、二人の視界の至る所で火が点りだした。







―――誰かの手によるものでは無く…そして音も無く………円形の室内の端という端に並んだ無数の蝋燭が、独り手に炎を掲げていった。




闇を照らす淡い青白い光に囲まれ、のまれていく。



この空間だけが、奇妙に明るい。
足元からの光は、室内にいる者全員の姿を、月明りの様にぼんやりと照らしていた。






「………何だ…これは…」

「………」


二人は警戒を解かずに、注意深く周囲を見渡した。





握り締めた剣の刀身が揺らめく蝋燭の光に照らされ、何とも妖しい光沢を放っていた。





「………ユノ…?………大丈夫なの?」

不意に、ユノを呼ぶサリッサの声が聞こえ、レトは構えたままそちらに視線を移した。