………こういう時すぐに、明かりを点けなさい、とか…何をしているんだ、とか………ザイの、穏やかではあるがドスのきいた声音のお叱りが下されるのだが。
………そんな声は聞こえなかった。
………いや………ザイも、レトも、そしてサリッサやユノも………誰も何も言わなかった。
一同は皆揃って…………天井を見上げていた。
「―――……何…これ……」
…濃い暗闇の中で、自分達の頭上だけが………不自然に、光り輝いていた。
青白い、星の瞬きに似た淡い光。
まるで星空の一角をそのまま天井に移してきたかの様な、細かな光の群れが、そこにはあった。
青白い光の群集は、縦横に均一に並んでいた。
天井に浮かぶ神秘的なその光景を瞬きを繰り返しながら見ていると、ユノが興奮気味に声を上げた。
「………あれ、文字だ!文字だよ!………アレスの……神の言語だ!!」
「………神様の………?」
ユノは勢いよくその場で立ち上がり、宝物でも見つけたかの様なはしゃぎ振りで両手を上げて喜んだ。
「……凄い!!凄いよ!!書物じゃなくて本物だ!!………僕、読めるよ……ちゃんと読める!!………………僕……やっぱり王族なんだ!………皆に読めない字が読めるもの!!」
辺り一面が暗くなった事で露になった天井の文字。
ユノ曰く、つらつらと並んだその文章は、この世の理を現した『アレスの書』であるという。
普通、アレスの書が書かれているのは石碑か何かなのだが……デイファレトの石碑は天井に埋め込まれていた。


