ポツポツと不満を漏らす彼の顔を覗き込みながら、レトは首を傾げた。
「………ユノは……気違いなんかじゃないよ」
「………………当たり前だよ」
真に受けないでよ、とそのいつでも眠そうなレトに、軽くでこピンを放った。
やはりぼんやりとしながら、レトはじんわりと赤らんできた額を無表情でそっと撫でた。
「………痛い…」
「…相変わらずリアクションが無いな。……初対面の時と全然変わらないな、君は」
…何の事だか分からずどうやら癖であるらしい、首を傾げる動作をするレトが、何だかおかしく思え、ユノはうっすらと苦笑を浮かべた。
「……頭が悪そうに見えるよ、レト。………でも君って、何て言うか………素直に生きてるよね……。……………………何でかな………凄く………」
………凄く…。
眠そうな半開きの瞼から覗く深い紺色の瞳が、自分をまっすぐ映していた。
透き通るそれは、ビー玉だとか、宝石だとか………もっと違う、自然な輝きを秘めていて…………そしてそれは………嫌な物しか見つけきれない僕には無くて……。
「………羨ましいよ…」
「………?」
またもやレトは、ゆっくりと首を傾げた。
「…羨ましい??」
「良いね君は。君を見てると何だか全部どうでもよくなるよ。………世間で言う癒し系だよ、しかも天性の」
「……癒し…??」
彼の言っている事が本格的に理解出来なくなってきたレトは、うーん?と呟きながら、とうとう頭を抱え出した。


