「………何も…起きないね」
暗くなっても、塔内はやはり暗いまま。
何か起きそうな兆しも皆無だ。
………第一、どんな事が起こるのかさえも分からない。
神様からの御告げによって導かれたのだから、やはり神秘的な現象なのだろうか。
とにかく、四方八方を飽きる事無く見回し続ける。
しかしぼんやりとした淡いランプの光が映すのは、ただの廃墟の一室だった。
「………意味が分からない………何なんだよこれ」
………綺麗な顔をしかめ、だんだんと不機嫌になっていくユノ。
「………夢の御告げというのは本当か……………ただの夢という可能性は…」
顎に手を添えて低く唸りながら考え込むザイに、「何だって!?」と苛立ちを隠せないユノが食ってかかった。
「………ただの夢?冗談じゃないよ!!……ただの夢との区別くらいつくさ!!失礼だな…!一応言っておくけれど、御告げは本当だからね!!絶対、絶対に本当なんだからね!!見た事も無いのに勝手な事言わないでくれないかな!!」
「………ユノ…。……あの…ごめんなさい…」
とにかく喚き散らし、プイッと顔を背けてザイから離れるユノ。
そんなユノを叱る事も出来ず、サリッサが代わりにと、申し訳無さそうに頭を下げてきた。
気にしておりません、とザイは首を振る。
謝り続ける母親を傍目に、ユノは眉をひそめたままレトの隣りに歩み寄って来た。
「………………皆して………何なんだ………………まるで僕が気違いみたいじゃないか……」


