突然言われた事に理解出来ず、一瞬ぽかんと惚けていたレトだったが、言われた通りにユノを起こしにかかった。
自分の肩に頭を預けて眠るユノ。
その、全てを預けてくれている彼からレトは……………特に何も考えず、パッと身体を離した。
………途端、支えの無くなったユノの身体はぐらりと傾き、冷たい床にそのまま頭を打った。
ゴチン、という鈍い音と共に、ユノは打った頭を押さえて悶えた。
「………………痛い!なんか痛い!!冷たい!!」
何が起きたのか、何故頭を打ったのか、はたして自分は床に横になっていたか……など数々の疑問が脳裏を過ぎったが、とにかく痛みに悶えた。
そんなユノを、自分のせいだと分かっていないレトが心配そうに見下ろす。
「………………大丈夫…?………頭、打ったの?」
「………よく分からないけど………打ったみたい………ああ痛い……冷たい……」
あっという間に覚醒したユノは、床と衝突した部分を押さえてゆっくりと上体を起こした。
向かい側では、ザイがサリッサを起こしていた。
ふと辺りを見回すと、自分達を取り巻く世界がとっぷりと闇に浸かっていることに気が付いた。
どんよりとした雪雲や、映える純白の粉雪は、支配欲の強い夜の手によって視界から隠されてしまっていた。
日が、暮れたのだ。
漂う闇と、肌を刺す様な凍て付く寒さが、夜を迎えていた。


