吹き抜けの向こうの雪景色が、代役の夜の訪れに乗じてだんだんと暗さを増していった。
濁った雪雲は更に黒く濁っていくのに、吐き出される粉雪は不思議と純白を保っている。
風は今日に限って大地を走る事に飽いたのか、外はしん…と静まり返っていた。
大粒の粉雪が一つ、スルリと吹き抜けを潜って入り込み、独りで勝手気ままに歌い続けていたアルバスの嘴に舞い降りた。
首を傾げながら目の前の粉雪を興味深げに見詰めるアルバス。
苦笑を浮かべ、レトは人差し指で雪を払ってやった。
隣に座っていたユノは、いつの間にやら自分の肩に頭を預け、静かな寝息を立てていた。
知らない内に疲れが溜まっていたのだろう。彼の降りている長い睫毛は、ピクリとも動かない。
………調子に乗って人差し指を甘噛みしてくるアルバスを無視し、レトは深い息を吐いた。
…そして、ふと…レトは視線を前に向けた。
………向かいの正面には、ずっとナイフを磨いている父。
所持している数十本の刃物を、丹念に、黙々と整理していた。
そんな、見慣れた父の姿を、レトはじっと見詰めていた。
「―――……どうした…」
レトの視線に気付いていたザイは、手元のナイフを見下ろしたまま言った。
「…………父さん…」
「………何だ……」
……ちらりと、眠っているサリッサを一瞥し、レトは呟いた。
「………………どうしてユノは………………お母さんが…嫌いなのかな……」


