「………………母さんはね………アシュ…って名前の人だったんだよ……………アシュメリアって人………」
「………綺麗な人だったんだろうね。………そうでもないと、大柄なザイから君みたいな息子が生まれるなんておかしいよ。……君、女顔だし」
「………………そう…だったのかな…」
…自分の顔はそんなに女顔なのだろうか。
よく人から少女と間違われるが……鏡の向こうの自分を見詰めても、その感覚はいまいち分からない。
生まれ持った容姿だし。
そういう区別は分からないが、ユノがかなりの美人顔であることはレトにも分かる。
彼は見れば見る程、美しい人形の様だ。
うんと小さい頃にコム爺の店で見た、絵本の挿絵の妖精に似ている。
笑えば、まるで天使の様な……王子様だ。
……しかしその王子様も……今は何故か、何処か憂鬱そうな……曇りのある表情を浮かべていた。
「…………僕は……お母様とお父様……………どちらに似ているんだろう……」
…そうポツリと言ったユノを横目で見詰め、レトは視線をサリッサに移した。
………サリッサは、目を瞑っていた。
起きているのに、眠っている振りをして、目を瞑っていた。
………しかし、話を聞くまいと………小さく、縮こまっていた。
その理由は、分からない。
彼女が拒む理由が、分からない。
「………………どっちにも、似てると思うよ……」
「………どっちにも………ね。………………………………お父様だけじゃ…ないのか…」
分からないけれど………二人は互いに、拒んでいる。
互いの、何かに。


