亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~


……レトがこんな、ネガティブ思考を伴った極度の心配性の持ち主になってしまったのは………ザイ曰く、 「…自然に」らしい。



肉親が父親のザイしかいない事。
狩人という、常に戦いと共にある、いつ死んでもおかしくない過酷な境遇に在る事。


そんな周りの環境に、元々消極的で自意識過剰、他人を優先し、己への劣等感を持つ性格が足されたせいか………こうなった。



「………幼い頃から…常に周囲を見て注意する様に言っていたのだが………言い過ぎだったか…」




『周りをよく見なさい、後ろから刃が飛んで来るかもしれない』
『余所見をするな、今の一瞬で死んでいるかもしれない』
『無闇に触るな、毒かもしれない』
『何事も疑え、生きたいならば』
『常に先を考えなさい、常に、常にだ。予測出来るあらゆる可能性、特に最悪の事態というものを常に何通りも考えて動きなさい、いいな。死にたくないだろう。生きたいだろう』








「あんったのせいじゃないか!!」

阿呆だこの父親!!と、ユノはザイの腕をパシーンと叩いた。
しかしこの親子は無自覚なのか、二人揃って首を傾げる始末だ。


ああ、なんか僕一人が浮いているみたいじゃないか。

浮いてる?そんな馬鹿な。でも何だろうこの孤独感。



………もう良いよ、とユノはこめかみに手を添えて、重い息を吐いた。