ようやく神声塔に着いた、と安堵し、喜んでいたユノだったが……。
それから何もかも彼の想像通り、順調にいく訳では無かった。
目指していた神声塔にドキドキしながら上り、いざ最上階へ……とたどり着いたは良いが………一行を待っていたのは、想像していた神秘的な空間ではなく、ただの廃墟の一室だった。
丸く円を描いた様な室内をぐるりと囲むのは、最後にいつ使われたのか分からない凍て付いた蝋燭の群れ。
正面には、磨けば綺麗かもしれないヒビだらけの大きな鏡。
元は何だったのか見当も付かない、床に散乱する硝子の破片。
………吹き抜けから当たり前の様に入って来る雪が、室内の隅に白い砂山となって積もっていた。
………螺旋階段の方が、あまり風が入らないから……まだ暖かいかもしれない。
とにかく、廃墟と言ってしまえば廃墟でしかないこの一室に来たは良いが………何も、起こらないのだ。
夢の御告げで神はここに来いと言っておきながら、何故何も応えてくれないのだ。
全員が首を傾げる中、低く唸りながら考えていたザイは…。
「………………本来、神声塔での祭礼は、日が沈んだ直後に行なわれていたそうだ。………………夜にならねば何も起きないのでは……」
という、案外博識らしいザイの意見を信用し、日が暮れるのを地道に待つ事にした。
…順調ではない。
待つということだけでも溜め息が出るというのに…。


