「―――……貴様が死ねば、長は私だな」
……精一杯、皮肉った言葉を呟くや否や、ウルガは扉を開け、足早に退室した。
閉じていく扉の隙間から、自分を呼ぶ大臣の声が連呼して聞こえたが、ウルガは無視した。
何も、聞こえない。
閉じてしまった扉の向こうからは、何も聞こえなかった。
その遮る扉に安堵を覚える反面、ウルガはその存在が憎くて、憎くて、仕方無かった。
………なるほど。これが、私と彼等との間の……隔たりなのか。
………そう思えて、仕方無かった。
長い廊下に一定の距離で配置されている見張りの兵士達を、ただ無言で、出来る限り速く歩こうとするウルガは何十人も追い越していった。
今自分は、情けない顔をしているのだろう。
さらけ出しているのだろう。
恥など、微塵も無い。あるのは………………不甲斐ない己に対する………。
「―――………っ…!」
長い廊下の角を曲がった所で、ウルガは側の柱に拳を叩き付けた。
居場所の無い、やり場の無い、どうしようも無い怒りが、ウルガの中でふつふつと増殖していく。
人気の無い暗がりで一人俯き、叩き付けた己の拳をそっと広げた。
……手の甲は血が滲み、深々と刻まれた傷の溝に染み込んでいった。
(………………罪…か)
…ざんばら髪の前髪を掻き分け、深い溜め息を吐いた。
銀のピアスが揺れ、後ろから差し込む日光に反射した。


